てんかんとは?


てんかんの定義
突然に脳の神経細胞の過剰な興奮が起こり(脳波では発作波として表れます), その短い間, 種々の脳機能が障害されて意識の低下, 体部位のけいれんあるいは筋緊張の低下, 異常感覚などを生じる発作をときどき繰り返して起こす脳の障害と定義できます. 一過性の脳機能障害で起こる発作, たとえば,発熱によって起こる乳児の"熱性けいれん", アルコールやある種の薬物の禁断症状としてのけいれん発作や体液組成の異常によって起こるけいれん発作などは"てんかん"ではありません. 同一部位の脳機能の障害が存続し繰り返して同一症状の発作を起こすときに"てんかん"と診断されます. (参考)てんかん分類
いわゆる正常の脳でも適当な刺激で全く同じ発作を惹起できますから、てんかんかそうでないかの違いは、”発作の起こりやすさ”の程度の違いともいえるでしょう。
 
頻度
てんかんは, 国や地域, 人種にかかわらずほぼ一定の割合でみられます. 調査によって多少異なりますが, 全人口あたり小児で 1-2%, 成人では 0.5-1% 程度と推定されています. 日本では約100万人の人が少なくともその人生の一時期にてんかんを持つことになり, 決して珍しい病気ではありませんし, 通常はそれほど深刻な病気ではありません. 大部分は簡単な薬物治療で治癒あるいは、発作の抑制が得られます. しかし, その歴史的背景から過剰に深刻に捉えられることも多く, その場合, ”てんかん”の生物学的病態以外に社会・心理的な問題が起るかもしれません. したがって、本人とその周囲の人々が, 病気本来の姿を正しく認識することが大切です.
 
特徴
てんかん発作の症状は,神経細胞の過剰な興奮が起こる脳部位の本来の機能の違いによってさまざまですが,次のような症状がよくみられます. 
  • 意識の曇り,あるいは消失
  • 凝視あるいは無反応
  • 手や足のけいれん
  • 錯視や錯覚,あるいは説明できない恐怖感

  • 合目的的にみえる自動症(たとえば,ボタンの掛け外しのような行動)
 
診断と治療
てんかん発作の起こり易さを下げる薬物(抗てんかん薬)で発作を起こし難くするのが一般的な治療法です。多くの臨床的経験から、てんかん発作の種類によって、より効果のある薬がわかっていますから、まずてんかん発作の分類診断が正しくなされることが必須です。 
しかし、現在のてんかん分類は、その病因に基づく分類診断ではなく、発作の外観(発作症状、年齢、脳波など)が同じものを集めたものに過ぎませんから、常に個々の場合の病因を探す努力が重要で、もしそれが明らかになれば、もっと根本的な治療も可能になるかもしれません。例えば、ウエスト症候群やその他の難治てんかんのなかには、脳ができる時の神経細胞の遊走障害などで生じる脳形成異常が原因となっているものがあり、それはMRI検査などで比較的容易に発見できます。その場合、異常部位の切除によって治癒可能であれば、外科的治療が第一選択であって、般的薬物治療法の後で発達遅滞が生じてしまってからの最後の選択ではないと私たちは考えています。
 

(K. Ono)
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