てんかん発作時の応急手当


痙攣性の発作 (強直性、間代性、強直-間代性)

第一原則: 優れた観察者になりましょう。冷静でいましょう。
優しく静かにその人に語りかけます。慌てふためいてはいけません。 てんかん発作自体でひとが死ぬことは皆無といっていいほどありません。 
しかし、発作後の医療的な手当に、あなたの発作の観察が、とても重大な意味を持ち得るのです。 例えば、患者さんは文章の途中でしゃべるのを止めませんでしたか? 手足のうち一つが他の手足より先にガクガクし始めませんでしたか? 手足の動きは右左同じでしたか、また、手足が同時に動いていましたか?
 
第二原則: 患者さんの口の中に何かを押し込もうとしてはいけません!
なにかを口の中に押し込もうとすることは、必要ないことですし、患者さんを傷つけたり(歯を折ったり)、あなたも怪我をすることがあります(あなたの指を噛みきられる かもしれません)。患者さんが噛みきった舌を呑み込んで窒息することは起こり得ませんし、舌や頬を噛むのは、ふつうは発作の最初の1-2秒のうちに起こります。多くの発作は数分しか続かないし、あなたが発作を止めることは出来ないのです。人工呼吸や心マッサージなどの心肺蘇生(CPR)を始めてはいけません。患者さんが呼吸を止めることはまれですし、もし止めたとしても、ふつうは短時間です。
 
第三原則: 患者さんを危険から守りましょう。
患者さんは発作で倒れることがありますし、発作の動きによって、頭や手足が硬いものにぶつかったりすることもあります。周囲を片づけて、その人の頭の下になにか柔らかいものを敷きましょう。患者さんを押さえつけてはいけません! 発作の動きを止めようとするいかなる試みも、実際に怪我を負わせる原因になり得ます。できるなら、患者さんは動かすべきではないのです。
 
第四原則: 呼吸をする気道に支障が無いように、痙攣の後は、患者さんを横向き(側臥位)に寝かせましょう。
ごくまれに、患者さんが吐くことがありますが、この体位は、吐いたものを気道に誤って吸い込むことを防ぎます。患者さんが完全にはっきり目が覚めるまで、いかなる食べ物や飲み物も(発作の薬も含め)与えてはいけません。
     
第五原則: すぐに救急車を呼んではいけません。
てんかんの患者さんが、人前で発作を起こすこともあるでしょう。この病状は、高額な医療費がかかる、救急室の医療を必要とはしません。患者さんが目覚めるまで待って、 患者さん本人に救急車に来てほしいかどうか訊ねましょう。しかし、もし発作が30分以上続いたり、または、繰り返して発作が起こる場合、この病状は、けいれん重積状態を示しています。その場合は直ちに救急車を呼ばなくてはなりません。
 

複雑部分発作

第一原則: 発作の観察が極めて重要です。
第二原則: 口の中に何も入れてはいけません。
第三原則: 危険の回避
これらの発作中、患者さんは歩き回ったり、時には、転倒したり、物をひっくり返すかもしれません。患者さんにとても穏やかに接して、静かに導き、患者さんを危険物から離れた場所に座っている様に話しかけてみましょう。 しかしながら、あなたがもし腕力に頼ったり、その人を制止しようとしたりすれば、患者さんは攻撃的になったり、暴力的になる可能性もあることに留意しましょう。
     
第四原則: 発作の後は、患者さんを眠らせましょう。
第五原則: 救急車を呼ぶ必要はありません。


(Y. I. Orihara)