抗てんかん薬治療の原則


 

薬剤治療の原則

  1. 脳の慢性のてんかん原生のために繰り返す発作であることを確認する。したがって、初回発作で治療を開始することは少ない。
  2. 初回発作であっても、脳波や画像所見等で発作の再発が予期される場合は治療を開始する。
  3. 偽発作を確実に除外する。これには別のアプローチが必要である。
  4. 発作型を正確に分析する(少なくとも部分発作か全般発作かの区別は必須である)。 
  5. 部分発作に対しては、カルバマゼピンあるいはフェニトインが第一選択薬である。
  6. 欠神発作については、エトスクシミドが第一選択薬である。バルプロ酸は同じように有効であるが、まれであるとはいえ致命的な副作用がある。
  7. 欠神に加えミオクローヌス/間代性/強直/脱力発作があれば、バルプロ酸を使用する。
  8. その他の全般発作についてもバルプロ酸が第一選択薬である。
  9. コンプライアンスを改善するので、できるだけ1日1回投与できる抗てんかん剤を選択する。半減期または副作用に基づいて考慮すれば、1日4回投与する必要はない。さらに、脳内移行に閾値があるものでは、分割回数が増えるほど移行量は低下する。

 

単剤治療のすすめ

  1. 複数の抗てんかん剤が共同的に作用することを証明した研究はない。 単剤治療が最適であるという研究もない。
  2. 多剤療法は高価であり、副作用を増加させて、難治患者で抗てんかん剤の調節を複雑にする。
  3. 一剤で始めて、副作用がでるかあるいは発作がコントロールされる服用量をきめる。
  4. 有効でない抗てんかん剤を中止する。
  5. 3剤以上の抗てんかん剤を投与しない。
  6. 複合剤を使用しない。

血中濃度モニタリング意義

  1. いわゆる「治療」域は、毒性と効果の兼ね合いで決められた平均的な数値であり、当てはまらないことも多い。したがって、治療を開始する場合の目標範囲と考える。
  2. 抗てんかん剤の血中濃度は臨床判断の代わりにはならない。

  3. すなわち、重要なのは、患者を治療することであり血中濃度を「治療域」に保つことではない。発作が減少傾向にあれば用量を増やす必要はない。発作が続いている場合には用量に関連した副作用がない限り、発作が抑制されるまで用量を増加させる。
  4. 抗てんかん剤の血中濃度は次の評価に使用できる:
    • コンプライアンス、代謝速度
    • 服用量に関連する副作用
    • 他の薬あるいは疾病との相互作用